1998年の12月。
この年のゲーム業界の商戦ラッシュを、僕は未だに覚えています。
「エアガイツ」「幻想水滸伝2」「マール王国の人形姫」「エリーのアトリエ」「EVE The Lost One」…
まだまだありますが、どれもが非常に魅力的なゲームで、ゲーム雑誌をずっと眺めていても飽きませんでした。
それでも、僕は他のゲームを購入したのです。
評価は決して高くはないし、発売されてからも低評価でしたけど、僕がゲームを本気で好きになったのは、ここからなのかもしれません。
★サウザンドアームズ(PS)
トラットガルドの片隅にある、地方カント。
代々続く聖霊鍛冶師の家系であるマイスは、貴族としてそれなりに満ち足りた生活を送っていた。
だが、力と恐怖で支配を目論む帝国ディアノーバによって、多くの国家が侵略され、カントの領地を奪われたマイス一家は離散、マイスもあてもなくさ迷うことになる。
その途中、不良に絡まれていた少女ソディナと出会い、ボイズビーの街へ辿り着いたマイス。
ここから、彼の物語が始まる。
ストーリーを見てもらえば分かるように、実に王道をひた走っているRPGです。
主人公のマイスは「鍛冶師」であり、「ナンパ師」でもありまして、ここがゲームのシステムと雰囲気を作りあげています。
~2Dと3Dの融合~
画面内に映る、土地や建物などの背景は3D、キャラクター達や街の住人は2Dで描かれています。
ストーリーを進めるとアニメーションが入ることがありますが、その場合もキャラクター以外は3Dというこだわりでした。斬新、とまでは言いませんが、珍しかったのは確かでしたね。
当時は「FF7」の影響が大きく、3Dを採用する時はフルポリゴン、みたいなところがありましたから。
~『アニモーションバトル』という概念~
戦闘時には、『アニモーションバトル』という名のシステムがウリでした。
戦闘に参加するパーティーは3人まで選べるのですが、一番先頭にいるキャラクターだけが主に戦闘を行うという、タイマンバトルなのです。
他の2人はアイテムや魔法などで援護する「後衛」ポジションとなります。
仲間には『待機』コマンドなんてありまして、文字通り待機していますが、しばらくすると応援やヤジを行い、先頭キャラクターのステータスを高めたり、モンスターのステータスを低下させてくれたりします。
マイスの応援は『クリティカル率UP』、ソディナの応援は『HP回復』など、キャラクターによって効果が違うので面白いですね。
敵も先頭にいるモンスターが行動し、倒されると後ろのモンスターが前に出てきます。
魔法を使える敵は後ろから撃ってくるので、早く倒して前に引きずりだすことを考えるのか、一度防御に徹するのか考える必用がありました。
~強くなるには「デート」しよう~
このゲーム、レベルアップしても、HPとMPしか上がりません。
その他のステータスを上げるためには、聖霊鍛冶師であるマイスが女の子と一緒に武器を鍛えることで上がっていきます。
が。
魔法を覚えたい場合、女の子とデートしていちゃつくことが大切なのです。
どういうことなのかと言いますと、女の子には『よろしく度』という概念があり、デートを重ねてこのよろしく度を上げると、それに対応した魔法を覚えていくのです。
デートには、
・街の特定のデートスポットで会話を行い、正しい選択肢を選ぶ。
好感度の下がる選択肢を選び続けると女の子は途中で帰ってしまう。
逆に好感度を上げる選択肢を選び続けると、最後に女の子からキスしてもらえる。当時はそのシーンがすごく恥ずかしくて、今はもっと激しく!とか思うのは僕の心が汚れているから目を背けてたんですよね。
・プレゼントアイテムを贈り、好感度を上げる。
各キャラクターによってプレゼントには好き嫌いがあり、ヒロインのソディナは可愛らしいものが好みですが、途中加入するウィナはむしろ嫌いだったりします。
・ミニゲームを行う。
各キャラクター毎にミニゲームがあり、意外とはまります。
難しいやつは本当に難しいので、キャラによってはやめた方が無難です。やりがいがあるとも言えますが。
この3種類の方法でよろしく度をあげていきます。
パーティーメンバーだけでなく、サブキャラクターともデートできるので、結構な人数になります。
デートといっても際どいシーンなどはありませんから、あくまで明るく楽しく、といった感じでしょうか。
~明るく、シリアスで、入り込みやすい~
デートの概念で戸惑う方もいるかと思いますが、先に述べたように学生の清い交際程度なので、そこまで気にする必要はないかと。
また、主人公マイスの女の子好きな性格からか、基本的にストーリーと世界観は明るいです。
女の子を見かけたら口説こうとする。
↓
ソディナに引っ張たかれる。
のコンボはベタですが、安心して見れます。
また、マイスは鍛冶や困っている人に対しては真剣に取り組む性格なので、きちんとメリハリが効いてたのも良かったですね。
流石に終盤はシリアスですが、それはRPGとしては妥当な流れだと思います。
~じゃあなんで世間の評価が低いんすか?~
上記の説明した部分には、すべからく不満点が存在します。
・戦闘の不満点
タイマンバトルなので、一回の戦闘が長いんですよね。全体魔法の燃費も悪いので、ガンガン使用することもできない。
ロード時間も長いので、エンカウントするその時点でストレスに。
・3Dマップが分かりにくい。
街やワールドマップの地図は表示できますが、ダンジョンマップの構造が把握しにくく、戦闘と相まって更にストレスが…。
・デートの不満点
デート会話の発生場所がすごく分かりにくい。マーカーなどの目印もないので、しらみつぶしに走り回って探さないといけないのは無理があります。
~それでもこの世界観は好きなんです~
けれど、マイス一行が繰り広げる冒険と、キャラクターの個性が被ることなく進行するイベント、そして何よりもまっすぐなストーリーが僕は大好きでした。
思い出補正が全開ですみません。
今の時代だとシステム面の不備もありあまり勧めることはできませんが、その絵柄と雰囲気が気になる方は、どうぞ手に取ってみて下さい。
- 出版社/メーカー: アトラス
- 発売日: 1998/12/17
- メディア: Video Game
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~余談スペース~
・主題歌はなんと「浜崎あゆみ」です。
曲が本当に素晴らしく、できればゲーム序盤だけでなく、起動する度に見れたら最高だったんですけど…。
・これで終わりだと思った皆様、実は『サウザンドアームズ』に関わる話はもうちょっとだけ続きます。
その話は次の時にでも。