映画では良くあることですが、ゲームにおいても有名な役者の起用を大々的に宣伝することは珍しくありません。
「龍が如く」シリーズは数多くの俳優が演じており、新作が発表される度に誰が登場するのか、ファンの方は心待ちにしているでしょう。
・「プロジェクト・ミネルヴァ」は藤原紀香
が主演ですよと聞かされれば、誰かの興味を引かせることは出来そうですよね。
ここで紹介する作品は、これら上記で紹介した作品よりも1世代前のハードであり、その後も実写作品を数多く手掛けるエニックス(現スクウェア・エニックス)でもあり、メインの登場人物が当時全盛期のアイドル達という超豪華な顔ぶれで一部の界隈を賑わせた、忘れるにはインパクトが強すぎた代物でした。
★ユーラシアエクスプレス殺人事件(PS)
私立探偵である主人公の許に、顔見知りでもある『つばさ』から電話が入った。
『黎明女学園』の生徒であるつばさは、現在は修学旅行で中国にいる。すぐに来て欲しい、というつばさの懇願に従うがままに、上海にある『ユーラシアエクスプレス号』に乗り込む。
無事につばさと合流した主人公だが、彼女の鞄の中にいつの間にか入っていたらしい「修学旅行中に殺人が起こるかもしれない」と書かれた手紙を見せられる。
つばさが主人公に調査を依頼しようとした矢先、客室で殺人事件が起こってしまう。
列車が発車している以上、犯人はこの中にいる。
次の到着駅まで2時間。
主人公とつばさは早速調査を開始した。
旧エニックスが映画のようなゲームに挑戦した意欲的な『シネマアクティブ』シリーズの第1段となるのが、このユーラシアエクスプレス殺人事件です。
人物と選択肢を選んで事件を解決に導くアドベンチャーゲームですが、今までのエニックスとはかなり毛色の異なる作品だと言えるでしょう。
~オーソドックスな探偵アドベンチャー~
基本的な操作としては、列車間を移動しながら生徒や教師、関係者に話を伺い、時に質問を選択して得られた証言や証拠から犯人を推理する、というオーソドックスな探偵アドベンチャーになります。
ただし、列車が目的地に着くまでに解決しなければならないため、時間の制約があります。
時間は移動や会話をする度に消費しますので、どんな質問をするのか、次は誰に話しかけるのかをある程度は考えておかないと悪戯に時間だけが過ぎていきます。
初回のプレイではなかなか進まず焦ってしまいがちですが、助手のつばさがメモを取ってくれるので上手く活用しましょう。
詳しくは後述しますが、各生徒には『好感度』が隠しパラメータとして仕込まれており、自身の身の振り方がエンディングに影響します。
アドベンチャーにちょっとしたギャルゲーをプラスしたゲーム、といったところでしょうか。
~当時から考えて豪華なキャストが勢揃い~
何と言っても、このゲームの一番のウリは有名なキャストを取り揃えたことにつきますね。
特にメインを務める学生達を演じるアイドルの起用に対しての力の入れようは並大抵ではなく、よくこのメンバーを取り揃えたものだと関心します。
ざっと挙げると
代表作は『家なき子2』『アルジャーノンに花束を』。
『ハマの大魔神』で有名な元プロ野球選手、佐々木主浩の妻でもあります。
『白線流し』『GTO』に出演。
近年で有名なのはNHK『ゲゲゲの女房』でしょうか。
☆新山千春
『リング~最終章~』に出演。シンガーソングライターの岡野宏典のPVにも出演しています。
元々はグラビア関連の仕事をしていましたね。
新山小春は彼女の娘です。
☆深田恭子
説明不要、『ゆうこりん』でお馴染みの深田恭子ですね。
近年の作品では落ち着いた女性を演じることも増えた彼女ですが、今作ではその片鱗が垣間見えます。
☆加藤あい
『海猿』『池袋ウエストゲートパーク』で印象に残った方は多いのではないでしょうか。
『東進衛星予備校』のイメージキャラクターを務めたこともあります。
☆東山麻美
女優、声優、シンガーソングライターと多岐に渡る活躍をしている方ですね。
実はあまり知らないので語れないのが申し訳ないのですが、舞台でも活躍している辺り、エネルギッシュだなぁと驚きました。
☆中島礼香
こちらもグラビア畑の方ですね。
残念ながら事務所と対立したために芸能界を引退してしまいました。
今回のために何か書こうと思ってDVDを借りたのですが、大変健康的なbodyだったということ以外は全て抜け落ちました。
☆佐藤仁美
『ホリプロタレントスカウトキャラバン』グランプリを獲得してデビューした女優。因みにこの時の特別賞が常軌で紹介した新山千春だったりします。
実は芸能界にデビューする前に、『中学生日記』に生徒役として出演していたそうです。
この他にも高田純次、田口浩正といった錚錚たるキャストで起用されており、迫真の演技力によってドラマを見るかのような臨場感溢れるプレイで楽しめるのは間違いありません。
~「足で探せ」を地で行くプレイ~
ネタバレは極力避けますが、恐らく1回目のプレイでクリアするのはかなり難しいと思われます。
何故なら、この事件を解くためには『登場人物達から特定の情報を入手しながら進めていく』というフラグを立てて進めていくゲーム性になっているからです。
①Aという人物から得た情報をBに話す
↓
②Bが新たな情報を提供する
↓
③新たな情報をC,D,Eに話すことで新しい選択肢ができる
本当はもう少し複雑ですが、このような一連の手順を繰り返していくことで真実に近づいていきます。
特殊なシステムは一切ありません。
人から得られる情報から自身で推理して真実に辿り着くまで、プレイヤーの試行と思考が全てです。
さて、往年のドラマに出てくるベテラン刑事のような地道な捜査を繰り返す本作ですが、大きな問題点がプレイヤーの行く手を阻むのです。
それが上記で挙げた制限時間の概念。
列車が到着する2時間以内に事件を解決するためにも、漫然とした聴き込みではあっという間にゲームオーバーとなってしまいます。
初回でクリアするのが難しい理由は、この制限時間という障害が全て、と言っても過言ではありません。
その為にも順序立てて情報を引き出すだけでなく、余計な質問をしないことを念頭に置くことが大切です。
正しい解答を導きだすことはもちろんですが、どれが誤った選択肢なのかを見定めることも重要なのです。
つばさのメモだけに頼らず自分でも攻略チャートを整理していれば、次の周回ではそれが大きな力になっています。この点は捜査系ゲーム特有の醍醐味ですね。
~大作と呼ぶにはゲーム性が乏しいか?~
本作は大変魅力的なキャストで揃えられているのは何度も語りましたが、ゲームとしてはそれが足を引っ張ってしまった印象があるのも否めません。
登場する生徒達には『好感度』が設定されており、各々の好感度の高さによってエンディングに違いが生じる訳ですが、そこに力を注いだ結果の代償か、ギャルゲー的要素以外の部分が非常に淡白です。
あれほど複雑だったフラグに対して事件の内容は薄いですし、聴き込み以外のシステムが存在しないのでダレやすいのも拍車を掛けています。
ハードの都合上とはいえ、移動に少し時間が掛かるのも困り者です。
ただ、読み込み時間中は列車間を移動するシーンを組み込んでいるといった工夫もありますので、そこは評価したいところです。
総じて光るモノは多いけれど、評価に繋がるまでには至らず。
そして、フラグ立てと時間制限のややこしさと肝心の殺人事件の内容があっさりしていた為か、当時は豪華キャスト以外の評価点を見出だす前に話題から消えてしまったのが残念である反面、妥当なところなのでしょう。
・事件の捜査を「プレイ」と捉えるか「作業」と捉えるのか
・キャストに魅力を感じるのか
その2点をどう感じるのかが、このゲームの評価の別れ道になるでしょう。
- 出版社/メーカー: エニックス
- 発売日: 1998/11/26
- メディア: Video Game
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~余談スペース~
・話し掛ける人物を選んだ後に↓キーを押すことで、アイドル達の上半身と下半身に視線を移すことができます。
暫く見てると怒られますが。
・一応攻略本も出ていますが、多分必要ないと思います。あの頃のアイドル達を眺めたいなら一見の価値はあるでしょうか。
今回ゲームの画像が無かったので、代役としてこちらをタイトル画像にさせて頂きました。
ユーラシアエクスプレス殺人事件 パーフェクトガイド (The PlayStation BOOKS)
- 作者: ザ・プレイステーション編集部,アミューズメント書籍編集部
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 1999/02
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※ここから先の一言はネタバレ全開なのでスクロールさせて頂きます。
アイドルの好感度がエンディングに作用する時点で犯人の絞りこみが簡単すぎやしませんかねぇ…。