ゲームをプレイしている時、その内容やシステムは充分に面白く楽しめているのに、すごくどうでも良い点にツッコミを入れてしまうことはありませんか?
そこが批判点になるわけでは無いけれど、一度ツッコんでしまったら無性に気になって仕方がない…
ゲームが好きな方なら誰もがこんな経験をしているのではないでしょうか。
ここで紹介する作品ですが、当時子供だった頃にプレイしていたなら恐らく何とも思わなかったでしょう。
大人になってから購入したこと、当時の状況から時が流れたことが、満足感とツッコミを兼ね備えてしまったような気がします。
未来世紀2xxx年、地球。
平穏に暮らしていた人類は、ある日宇宙からの来訪者『ゼノ』に全ての報道機関を奪われてしまう。
宇宙の格闘戦士でもあるゼノは世界征服には興味がないこと、宇宙最強を証明するためにも強豪との戦いを望んでいることを告げた。
「私に勝てばどんな願い事でも1つ叶えてやる」
その一言により、腕に自信のある者達は願いを叶えるために競い始め、世界中から8人にまで絞られた。
最も強い者だけが、ゼノとの挑戦権を得る。
世界中が恐怖におののく中、更に熾烈な戦いが始まろうとしていた。
世に言う「ストⅡブーム」の流れから生まれた数々の格ゲーソフトの1つです。玉石混淆のあの時代ですから既視感は否定できませんが、実は多くの試験的なシステムを登載したハイ・ポテンシャルな作品です。
~現在でも使用されるシステムの先駆け的作品~
この作品の最大の評価点は、『空中ガード』『返し投げ』『投げ受け身』『ガードキャンセル』といったシステムを格闘ゲームで初めて実装したことに尽きます。
これまでの格闘ゲームは、ダウンさせられてからの続けざまの攻めに対処する手段が限られており、酷い作品に至っては、固められたら相手のミス以外で自分の操作を介入させる機会も無いままラウンドが終了する場合もあったのです。
ハメ対策として実装されたこのシステムは、現在の格闘ゲームでも存在していることから分かるように非常に有用であり、同時に攻守の入れ替わりが頻繁に起こり得るスリリングな展開を味わえるのです。
また、ジャンプ中は弱攻撃と中攻撃なら複数回攻撃出来るのも特徴で、先の空中ガードと併せて空中戦の攻防と戦術が面白いですね。
このため、昨今の作品のようなゲームスピードでは無いはずなのに、ゲームシステムのおかげで時代を感じさせないスピーディーさを生み出しています。
話は変わりますが、2つ目のボーナスステージがベルトコンベアーから流れてくるタルを壊すものになっています。破壊目標が動いているのもこの作品からだったのではないかと思われます。
~現在では使用されないであろうすさまじいシステム~
そんな画期的なバトル・マスターですが、画期的過ぎてとんでもないシステムも登載しています。
なんと、必殺技を必殺技でキャンセルできます。
「KOF」シリーズのようにゲージを消費して一定時間の間は使用できる、というなら分かるのですが、バトル・マスターでは標準登載です。
そんなアホな、と思った方、気持ちは分かります。
コンボを発見した時には何だか笑えてきます。
例えば主人公格である「ショウ」の『超神拳(要は昇○拳)』は、技が発生して頂点に達した瞬間にもう一度コマンドを入力すると更に上方目指して超神拳を放ちます。お前ロックマンXの世界でも食っていけるよ。
アホっぽさ全開ですが、必殺技のキャンセルタイミングを探すのはなかなか骨が折れますし、コンボ研究の幅広さは相当ですから、試行錯誤しながら破壊力(見た目含む)のある連続技を編み出した時は快感です。
~なんやコイツら~
これだけの優れた部分があるバトル・マスターですが、上記の強烈なコンボのせいかキャラクター関連にも突っ込みを入れたくなります。
当時の影響、と言ってしまえばそれまでとはいえ、起動してすぐに突っ込みたい箇所のプリンアラモードが完成するのに時間は掛かりませんでした。
・毎日はちみつドーナツを食べることが目標の32才。
・悪人をシバきたい一心で治安の悪い世の中を欲する警察官。
・チベットで魔獣を召喚する秘術を覚える、3×3でEYESな拳法家。
てゆーかお前最強の武術見つけにチベット行ったのに何覚えてんだよ。
・人狼でありながら『ネコキック』という必殺技でアイデンティティーがヤバい。
・とあるキャラクターが持つ唯一の超必殺技を当てると相手は気絶する。つまりもう一度超必殺技を使うと…
と、よくもまぁこれだけ盛り込んだなと感じるくらいにアレな要素がてんこ盛りです。
しかもゼノにお願いすることがドーナツ食いたいだの結婚したいだの自由の女神とお近づきになりたいだのシッポ生やしたいだのもうなんて言うか大抵は本気でどうでもいい願いなので世界は平穏そのものです。
濃い、というよりも変、それがバトル・マスター。
~作品の空気が合えば最高の格闘ゲーム~
ハメ対策を講じているのに、必殺技キャンセルそして必殺技のコンボなど一部にエッジが効きすぎた面もありますが、他の格闘ゲームでは真似できない独自の読み合いが存在するのも確かです。
要は格闘ゲームのセオリーではなく、バトル・マスターのセオリーでプレイすることさえ出来れば、相当やり込めることは間違いないでしょう。
研究好きな方はとことんバリエーションを増やして、そして多いに画面で繰り広げられている光景に突っ込んで下さい。
- 出版社/メーカー: 東芝EMI
- 発売日: 1993/11/19
- メディア: Video Game
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~余談スペース~
・ヒロインである『蘭丸』ですが、SNKのキャラクター『不知火舞』に非常に似通ったコスチュームとなっています。
また、必殺技の一部に関しても同社の『餓狼伝説2』に同じ独特のコマンド…というか名前まで同じものが存在します。
が、ネットで調べてみると簡単には結論を出せる内容ではないので、ここでは匂わせるくらいに留めておきます。気になる方はご自身でどうぞ。
・キャラクター選択画面がウィンドウではなく、全身画像なのも良いですね。シンプルな青の背景と併せて見やすいです。