恋愛ゲームはほとんどプレイしたことがありませんが、この手のジャンルの人気と需要はスゴいですね。
一度人気に火が着けばメディアミックス展開によってどこまでも広がりを見せ、製作会社はしばらく食っていけるんじゃないの?と思う程にCMやポスターをゲームショップで見かけます。
つい最近偶然から乙女ゲームをプレイしたのですが、多くの個性的なイケメンに現実ではとても口に出来ない甘い台詞をさらっと言われるのは、女性プレイヤーにとって楽しいものなのでしょう。
案外、"ゲームだからこそ出来る"を最も地で突き進んでいるのは乙女ゲームなのかもしれません。
さて、先程も申し上げた偶然プレイしたゲーム、乙女ゲームの代表格ともいえる「うたの☆プリンスさまっ♪(以下うたプリ)」になります。
良く知らないけどタイトルは聞いたことある、って方は多いでしょう。
このうたプリをプレイして一番印象に残った出来事、それが今回の話の中心である主人公である
『七海 春香(ななみ はるか)』
の存在です。
恋愛ゲームのことを知らないからかもしれません。
それでも、僕がイメージしていた恋愛ゲームの主人公というものを改めて考えさせられた次第ですので、昨今の事情に詳しい人もそうでない人も、しばしお付きあい下さい。
主人公の七海春香。
非常に可愛らしい雰囲気ですが、意外と根性が座っています。しかもTwitterやってます。すげぇ。
~七海春香ってどんな人?~
七海春香についての簡単な説明を。
彼女はアイドルのHAYATOに憧れて、作曲家を目指して早乙女学園に入学します。
基本的には大人しく、大抵は敬語で話すので落ち着いているように見えます。
が、突然の天然発言とどれだけ厳しい状況に陥っても凄まじいメンタルと根性で乗り切る精神力ガールでもあるため、普段の姿と作曲家としての姿のギャップが彼女の魅力となっています。
公式プロフィールによると恋愛には奥手で不器用、とのこと。男引っ掻き回す魔性の女とかだったらアイドル達の立場が無いですしね。
…と、ここまでは良くある主人公らしいプロフィール。
しかし、彼女は他のゲームの主人公とは一味どころか具材調味料トッピングの全てが違います。
~なんやねんこの娘…~
そんな春香ですが、小学校から中学校までの間に様々な人から「影が薄い」「幽霊みたい」と評され、人間としての存在を否定されてきました。
その為、中学校時代には引きこもりだった時期があったのです。
しかも自室にはグランドピアノがあり、それを用いて自身で作曲した曲を路上で弾き語りしたりと、本編が始まる以前から音楽に対する情熱が溢れています。
路上で弾き語りしている時点で引きこもってねーじゃん、とか言ってはいけない。いいね?
しかも早乙女学園に自分で作曲した歌を送って入学している節があるので、やはりこの頃からノンストップアグレッシブガールの気が漂っています。
ここまでの情報でもうお分かりだと思います。
春香は恋愛ゲームの主人公として一部にパンチが効きすぎているのです。
~ニュートラルな主人公~
恋愛ゲームは、好きなキャラクターを追いかけて最終的に結ばれるのが目的です。
プレイヤーの"分身"である主人公を操作し、仲良くなっていく過程を楽しみながらもエンディングを目指していく。ここは間違いないと思います。
そこにはまるで自分がそのキャラクターと絆を深めているかのような疑似恋愛の要素も当然含まれています。
こういうプレイヤーと主人公が一体感を持つゲームというのは、他のジャンルならアクションやホラーの様にFPS視点にすることでそれなりに解決出来るのですが、恋愛アドベンチャーではもう1つ、主人公をなるべくニュートラルにする必要があります。
端的にいえば性格が無難なこと。
どんなプレイヤーでも感情移入出来る様に、操作する主人公には最低限のプロフィールや性格があれば特に問題はありません。
下手にエッジを効かせてしまうと、主人公の言動に不快感を覚え、せっかくのシナリオを楽しない、なんて可能性もあるわけです。
恋愛ゲームの先駆け的存在でもある「ときめきメモリアル」においても
主人公=プレイヤー
という図式だったので、当時から続く暗黙の了解だったと思います。
~咲き誇る春香伝説~
ところが上記で説明した通り、春香はいくら過去のこととはいえ、多くの方は経験されたことは無いであろう経歴を持っています。
しかも序盤で痴漢の被害に遭いますが、その時でさえ初めて誰かから1人の女性として見られたことを喜んでいるくらいですから、当初は面食らいました。
もう本編始まってますよ!
春香の名誉の為にも説明しますが、その後は本来の丁寧な性格と聞き上手なところもあり、お互いの会話がテンポ良く進みますし、ピンチの時でもしっかりと前を向いて進んでいく姿には好感が持てます。
だから、というのも変な話ですが、本編の春香の安定感から考えるに、尚更過去の出来事をここまで深く掘り下げなくても良いのではないかとも思っていました。
~攻略対象だけが商品ではないうたプリ~
うたプリは様々なメディアミックス展開をしていますが、驚いたのはLINEのスタンプでした。
通常、恋愛ゲームのスタンプならば攻略対象で構成されているものでしょう。ファンもそれを期待しているし、使用したいと思うはずです。
仮に攻略対象以外で採用されるとしたなら、個性的なサブキャラクターもアリだとは思うのですが、うたプリでは春香も登場するどころか、単独でのスタンプも存在します。
もちろん彼女も人気があるから、と言ってしまえばそれまでですが、主人公でそこまで優遇されていることに驚きました。
彼女の経歴はハンデになると思っていたのですが、その個性も含めて魅力が評価されたということなのでしょう。
~乙女ゲームの主人公は変わりつつあるのかもしれない~
乙女ゲームには春香の様な個性持ちが多いのかな、と気になったので調べてみましたが、ニュートラルな主人公も個性を持った主人公もそれなりに見受けられましたが、昨今では設定がしっかりと固められた主人公の方が多数派のようです。
今回はあくまでも七海春香というキャラクターについてですから、他の乙女ゲームの話は深くしませんが、1つだけ紹介をさせて頂きます。
Starry☆Sky~Spring Stories~ - PS Vita
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「Starry☆Sky」というゲームの主人公は、目の表現のオン/オフを切り替えられるシステムが搭載されています。
勝手な推察ですが、この頃は恐らく春香の様な設定が固められた主人公が台頭してきた頃だったのではないでしょうか。
とはいえ、それを受け入れられないプレイヤーのことを考慮に入れ、どちらでも好きにとれる様にこのシステムを組み込んだと思われます。
僕としてはこの「Starry☆Sky」の目指した主人公の在り方にしておけばややこしくなくて良いと感じるのですが、昨今の主流から考えると主人公の個性は好意的に解釈されているのでしょう。この点は乙女ゲーとギャルゲーの違いを強く感じます。
まだジャンルとしては浅い乙女ゲームですが、それだけにこれから多くの変化を伴いながら、玉石混淆に陥る(もうなっているかもしれませんが)ことは間違いありません。
そういう意味で今の時代に乙女ゲームをプレイ出来るのは、恐ろしくもあり楽しみでもあるのかもしれませんね。
~余談スペース~
・遂に乙女ゲームに対して言及する日が来ました。
ブログを始めた頃の自分には想像も出来なかったことですが、未知のジャンルを調べていくのは本当に楽しかったです。
今度書くことがあれば、その時はもう少し色んな作品をプレイしてからですね。
・これ需要あんのかなー。
乙女ゲー経験者からすれば今更でしょうし、未プレイ者からしてもノー興味ですよねー。
僕が書いてて楽しかったから良いんですけど。
・おかげでうたプリの曲、結構覚えた。