ゲームの話ばかりで人生設計が地下迷宮。

ゲーム(たまに雑記)を中心に話を垂れ流す、見る人のハートを損得+-ゼロにする日記。つか要点掴んで話するの苦手なので最早ダイイングメッセージ。

ゲーム垂れ流し49本目 グノーシア

一時期、メディアに大きく取り上げられた『人狼』。
現在のボード・カードゲームの火付け役になった感がありますね。
とはいえ、人数がいなければなかなか楽しめないもの。
それをゲームで、且つ独特のエッセンスをプラスしたこのゲームは本当にオススメです。

☆グノーシア(ps4,ps5,switch,)

とある星間航行中の船内に、航行を担当するシステム『LeVi』より、人智を超えた生命体、『グノーシア』が潜んでいたことがアナウンスされる。
乗船していた人員達はグノーシアへの対抗策として、グノーシアプログラム―人員に化けたグノーシアをコールドスリープし、活動を停止させること―を決定。
コールドスリープの対象は議論を以て決議し、船内からグノーシアが検出されなくなるまで行うというものだった。
主人公は船に乗り込んだ記憶喪失の人物であり、同じく乗船していたセツと共に議論に参加する。

議論が終了したその時、何故かグノーシア検出のアナウンス時に戻り、船内の人員の顔ぶれも変わっていた。

何故ループが起こるのか。
乗船している者は何者なのか。
そして、グノーシアとはなにか。

主人公はセツと共に真実を探す。



ざっくり言えば、"ループもの+人狼ゲーム"を行うことになります。
システム上、ひたすら周回することになりますが、それが苦痛にならない素晴らしいゲームでした。


〜簡単なルール説明〜

カードゲームの人狼と同じく、議論を交わして最後に疑わしい者を選出する形になります。
主人公とはいえ、グノーシアを探すだけでなく、時にはグノーシア側にまわることもあります。

1ターンに5回の行動を行い、5ターンが経過すると最終的に疑わしい船員を多数決に則りコールドスリープします。
夜には一人の船員とコミュニケーション、そして前周回の終了時に得た経験値があれば「直感」「カリスマ」といった各パラメータのレベルアップを行い、そして議論へ…という流れを繰り返していきます。

最終的に船員側は全てのグノーシアをコールドスリープさせること、グノーシア側は生き残った人数の半分以上が自分達であれば勝利となります。

〜役職と役割〜

ゲーム中の自分がどこに所属しているか(役職)、どんな事が出来るのか(役割)を説明していきます。


【船員】
特別な能力を持たない、普通の人。

【エンジニア】
一日の終了時に、一人の船員を人間かグノーシアかを判別できる。後述のバグも消滅させる。

【ドクター】
一日の終了時に、コールドスリープさせた物を人間かグノーシアか判別できる。


守護天使
一日の終了時に、一人の船員を指定し、グノーシアの襲撃から守る事が出来る。
守れれば翌日に被害は起こらないので、自身が守護天使だとノーシア候補が一人減る可能性が高い。(グノーシアがバグを襲った場合を除けば)。


【留守番】
グノーシアは前回の寄港から発見されたとLeViから報告を受けているので、船を降りていない者は感染していない。
この役割は絶対に人間であることを示す役割。
疑わしくない物を残し続けるメリットがあまりないため、グノーシアに狙われやすい存在。


【グノーシア】
タイトルにもなっている人間の敵。
一日の終わりに船員を一人消すことができる。
自分が他の役職だと嘘をつくことも可能であり、議論を引っ掻き回すことで事を有利に運べる。無論、論理が破綻すれば容赦なくコールドスリープ一直線なので、しっかりと管理する必要がある。

尚、グノーシア同士は議論が始まる前から認知しているため、フォローやアシスト、時には同士を切り捨てながら進めていける。


【AC主義者】
人間でありながらグノーシアに味方する者。
そのため、グノーシアと同じく役職に対して嘘をつける。
グノーシアが船員の半分を超え、且つ自分も生き残れば勝利となる。グノーシアからしてみれば人間なので狩られる時は狩られる。無情。
因みにACは"アンチ・コズミック"の略らしい。


【バグ】
異色の第三勢力。
特別な能力は持たないが、人間かグノーシア、どちらかの勝利条件を満たし、且つ自分が生存出来れば勝利となる。こちらも役職を欺ける。
グノーシアの行動で消されない代わりに、エンジニアに調査されると消滅する。
エンジニアがいなくなった場合、どちらの陣営にとってもコールドスリープさせる必要が出てくる。



周回を進めると船員の人数や役職をゲーム開始時に決められる様になります。
好きな設定で遊べるので、立場が変わると違った面白さに出会えます。


人狼の楽しさ、ゲームの楽しさ〜

しばらくプレイして感じたことは、現実の人狼の核である誰かを犠牲にするために進み続ける部分と、コンピュータゲームならではのどっしり構えて取り組む部分が程よく融合しているところでしょうか。

船員が疑問や肯定否定、時には提案など、多くの思惑を織り交ぜながら展開されていく様はまさしく人狼の醍醐味です。

しかし、最初に発するのか途中で言を挟むのか、気になる点やロジックの破綻を見逃していないか等、ボタンを押さない事で長考出来るのはまさしくコンピュータゲームならではの観点が含まれています。


実際に人狼をプレイしたことがあるのですが、会話や身振り、話の流れをいかに繋げたり断ち切るのかを限られた時間の中で行っていきます。時には間を利用することも必要になるのがスリリングで、味わうと病みつきになるのは間違いないです。
が、家に帰ってからふと思ったことですが、それが苦手な方は楽しみを味わい尽くせない様に感じます。
現実でもいますよね、コミュニケーションが円滑だったり、場を取り仕切るのが上手い人とか。そういう人は程度の差はあれど、ある程度の腕前にはなる気がします。


グノーシアでは人狼とコンピュータゲームの割合が絶妙な具合で配合されており、ロジカルを楽しみたいけどスピーディーな展開は苦手…という方は特に手に取りやすいと思います。


〜個性的な船員達〜

グノーシアには一癖や二癖では済まされない船員達が登場します。最初は面食らいますが、周回を重ねるに連れて全員に愛着が沸いてきますよ。


【セツ】

主人公と共に船内の謎を追う、相棒的ポジションのキャラクター。『汎性』という男女の性別に当て嵌まらない人物。

議論の際は能動的に動くことが多く、各パラメータもバランス良く高いが、積極性が災いして吊るし上げられやすい。

主人公とはループしているという認識を共有しているが、同じ周回数では無い(主人公が2回目でもセツは100回目である場合があり、逆もまた然り)。


【ジナ】

言葉数は少ないが、常に相手のことを考えている優しい女性。
最初はパラメータが低いのだが、あるイベントからカリスマが最低ラインに、直感が爆発的に上がるため、
かなりの頻度で相手の嘘を見抜いてくる。

しかし、嘘を見抜いて発言しても、充分なカリスマ性が無いからかカウンターで返されやすく、却って自分の立場が難しくなることも。


【SQ】

明るく、常にテンションの高い女性。
独特の言葉のチョイスから船内のムードメーカーではあるが、快楽主義の面も強い。
その性格の通り、議論では能動的な方で自分から発したり相手言論に反応することが多い。

但し、同じく能動的なセツと決定的に違う点は、演技力やかわいげの高さから自分が不利になると他人を巻き込んだり押し付けたりするなど、"自分の保身が第一"だという点。

パッケージに載っている女性でもあり、ある意味でグノーシアというゲームを象徴するキャラクター。


【ラキオ】

皮肉屋で捻くれた言い回しを多様する。
男性的な容姿と身体だが、セツ同様に汎性。

かわいげのパラメータが絶望的のため、投票ではとにかく吊るし上げられやすい。その様は初日一回目の発言で取り敢えずと言わんばかりにラキオが疑われるほど。

だが、圧倒的な高さを誇るロジック力により、少しでも理論に穴があればすぐに看破してくる。人数が少なくなり議論する点が増える終盤は、味方なら強力に、敵対すれば恐怖の対象に一変する。


【しげみち】

一目見ればアメリカ人男性二人に脇から抱えられたアレを想像するが、立派な地球人。
ノリが良く、気さくな性格をしているため、個性派揃いの船員達の中でも見た目に反してとっつきやすい。

カリスマの高さから、自身の発言や誰かの意見に反応した際は船員達から同意を得やすい。

演技力が低いせいか、嘘をついてもバレやすく、ロジカル面の弱さも手伝って破綻した論理から自滅することも多い。


【ステラ】

丁寧でどこはかとなく母性を感じさせる様な女性。
後述するジョナスの世話係兼船の管理を行っている。

特に穴のないパラメータをしているため、場をいたずらにかき乱すことは基本的にせず、必要に応じて発言していくタイプ。

彼女の最大の欠点として、依存症の気があるのか友好度が高いキャラクターに賛同しやすく、十中八九グノーシアであっても庇い続けるといった悪癖がある。


【夕里子】

ゆりこ、と読む。
船員全てに対して高圧、不遜な態度を崩さない女性。

どうやらこの世界やグノーシアについて覚えがあるらしく、時と状況に応じて主人公達に関わってくる。

圧倒的なパラメータを誇り、考えもなく敵対すれば返り討ちに遭うのは必須。
彼女と事を構える時は、下手に責めずに凌ぎながら、状況が転じるその時まで耐えて忍ぶ必要がある。


【シピ】

猫好きを通り越して憧れを持ち、猫になるために手術をしている男性。そのため、首から猫の顔が見えるが、これは手術途中で自身の肉体と猫が繋がっているから。

バランス型だが、やや直感が高め。
自分が信じた船員と手を組みたがる性質があり、グノーシア側だとともかく、人間側だと例え同じ陣営でも厄介になる時も。


【コメット】

全身の模様が特徴的な、元気一杯を地で行く女性。
性格にクセが少ないが、時折リアリストな発言をすることもある。

パラメータは直感一点突破のため、嘘をついてもすぐに感づいて発言してくる。

それ以外は壊滅的なパラメータなので、グノーシアとなったコメットが嘘をついても発言してもバレやすい。本人だけで場を好転させるのは難しい。

だが、プレイヤー側からするとグノーシアや狂信者だった場合は分かりやすく、コメットがグノーシアで無いと確信が持てれば、彼女の見抜いた点はそれこそ突破口となり得る。


【ククルシカ】

言葉を交わすことが出来ないが、表情、動作を通じて船員達とコミュニケーションや議論を行う少女。

人形の様な顔立ちをしているからか、そのかわいげの高さから疑われても周囲が反論して助けてくれる。
守勢時にやたら強いのが特徴。

感情に左右されやすいのか、友好度が低い(要は嫌いな)船員を疑ったり投票しやすい。
他の船員達にも大なり小なりあるとはいえ、彼女の場合はその傾向が殊更強い。


【ジョナス】

舞台である宇宙船の船長でもある、妙齢の男性。
風貌はダンディズムだが、何処か詩人めいた語り口調で曖昧な表現を多様するため、掴み所がない性格をしている。

パラメータも悪くないが、議論中に突拍子もないことを発言・参加したり、標的にされた場合にうやむやにすることが多々ある。演技力が高いため、グノーシアやAC主義者だと厄介。
同じクルーであるステラとは意見も性格も議論も反対の方向を向いている。



【オトメ】


宇宙服に身を包んだイルカの女の子。
とある施設で知性化を施されたらしく、礼儀正しく人との関わりを好んでいる。

ロジックとかわいげが高い。ロジックにおいてはラキオに次いで高いため、標的にされやすいラキオに比べて看破する頻度が多く感じられるかもしれない。
基本的には理屈に沿った考えを述べるが、コールドスリープの投票者を決めるのに判断が難しい場合は、割と過激な提案をすることもある。



【沙明】


ノリは良いが軽薄な男性。
その軽薄さは彼が守護天使になると、女性しか指定しない点にも現れている。

"何よりも生き残ること"を第一にしており、ステルスが非常に高い。
自分に疑いが掛かった際は、SQの様に誰かを巻き込むのではなく、うやむやにしてでも逃げ切ろうとする。
その逃げ切りは、最後の土壇場まで発揮される。



【レムナン】


存在感が薄い、気弱な男性。
大人しいが人嫌いという訳ではなく、気遣いの出来る礼儀正しい性格。

ステルスやロジックが高いため、長い期間に渡り的を得た発言をするのだが、カリスマが絶望的に低いため場の流れにほとんど影響しない。

とはいえ、ステルスの高さも相まって票数の少なくなる終盤は要注意。

余談だが、彼はなかなか不幸な目に遭いやすい。
不憫萌えの人はどストライクかもしれない。




流石にこれだけいるとなかなかキャラクターが覚えきれないかと思いますが、周回を重ねれば馴染んでいくと思います。
それだけ登場人物の個性が立っている訳ですが、議論というゲームの核から船員の魅力が自然とプレイヤーに伝わってくる構成になっているのは感嘆しました。

彼らがどんな人物なのか、それが議論によって浮かび上がることもあれば、意外な形で判明する場合もあって最後まで飽きなかったですね。


人狼だけじゃない楽しみを〜

ループの謎を追うのが大きな目的ですが、もう一つ大切なものに、"船員達がどんな人物であるのか"を知っていく事も必要になってきます。

クセのある船員も、普段目にする表情と態度が全てではありません。それぞれの立場や状況、プレイヤーの何気ない行動によって、予想だにしなかった様々な情報が浮かび上がってきます。
その周回ではどうしてそんな行動を?と思ったことが、別の周回や視点で発見した時、プレイヤーはまた一つ先へ進んでいく形になります。

人狼部分以外に、船員達との関わりを深めていくという別の楽しみ方のおかげでダレることはなかったのが良かったですね。


〜物語の素晴らしさ〜

最後にこれだけはどうしても言いたい事として、本当にストーリーが素晴らしいです。
最後までプレイして気付いたことは、議論や船員達を始めとした、ゲームに出てくる全ての事柄は物語として破綻することなく、それでいてしっかりと意味を持っています。


『グノーシア』はループの謎を解いていく訳ですが、テキストアドベンチャーの様に"何周もした"と一言で主人公の時間軸を表したりしません。
主人公とプレイヤーは一心同体です。リアルタイムで周回します。

時に辛く、手詰まりに感じたり何をしても前に進まない感覚に陥ることもありました。試行錯誤を重ねて僅かながら先が見えたことも何度もありました。
そうやって自らの手で何周も重ねたことさえ意味があります。

頭を悩ます事も一度や二度ではありませんが、是非この物語の結末を見届けて欲しいですね。
このゲームをプレイした全ての出来事が感動のエンディングへと繋がりますから。










〜余談スペース〜


・疑わしい奴をコールドスリープするので殺伐とした物語に感じるかも知れませんが、実際はキャラクターの濃さと豊富なギャグイベントのおかげで終始暗い雰囲気を醸し出しているわけではありません。
そこら辺も気軽に手に取れる理由になるかな、と。


・個人的にはグノーシア側が面白いです。
嘘を重ねながら真実を話す人間を追い詰められた時は妙な背徳感と達成感に包まれます。


・夕里子も手強いが、周回を重ねるとククルシカの厄介さに気付き始めた時、貴方は確実にこのゲームにのめり込んでいます。


人狼としては良く出来ていますが、ゲームとして議論に矛盾を生じさせることが可能です。
開発者も想定していたのか、通称"水そうめん"と呼ばれるこのイベント、どうすれば起こるのか試してみて下さい。
一応、下に緩いヒントだけ載せておきます。










































ヒントは、"役職を名乗り出ないことで起きる弊害"です。

プロフィールを更新しました。

本当にご無沙汰しています。
7年ぶりみたいです。

この度、プロフィール画像を更新しました。





本当は1年に1回はブログを更新したかったのですが、病気になったり環境が変わったり家族ができたりと、時の流れを感じさせる日々でした。

精一杯、と言えば聞こえは良いですが、ブログ更新どうしようかと思いながらも見て見ぬふりしてたわけです。


明日夜に更新します。
やっぱりゲームが好きなので。


宜しければ見てやって下さい。

【お知らせ】病気治療の為、不定期更新になります。

平素は「ゲームの話ばかりで人生設計が地下迷宮」を御愛読頂き、ありがとうございます。


実は、2週間程前から病気(病名は伏せさせて頂きます。ご了承下さい)のため、治療を受けていました。

どうしても入院が必要であり、また日常生活にも少なからず支障が出てきたこともあり、ブログを不定期更新に切り替えようと考えております。

何とか1週間以内には記事を更新できれば…とはおもっていたのですが、遅れた仕事の案件やリハビリを含め、7日に1つの頻度さえ守ることが出来なくなったのが理由です。楽しみにしている読者の皆様には大変申し訳ありません。


完治がいつになるのかは全く分からない状態ではありますが、それでもブログを続けていくことには変わりありませんので、皆様には気が向いた時に閲覧して頂ければ、これに勝る喜びはありません。



どうしようもない人間が記すゲームブログですが、これからもお付き合い頂ける方々、どうか宜しくお願い致します。



あ、最後に。


この2週間、色々考えさせられましたが、結論としては「死ななきゃ安い」と思いました。

ミニ医薬品レビュー アレルギールSK

子供の頃、草刈りをしていたらしょっちゅうかぶれていたものですが、放っておいたら勝手に治っていた、なんて記憶はありませんか?


あの頃はそれで良かったかもしれませんが、あまり我慢をしたりかきむしっていると炎症を起こす可能性もありますから、早期の治療は大切です。


そこでオススメしたいのがこちら。



アレルギールSKという指定医薬部外品です。

かぶれの他にあせもや湿疹にも効果がありまして、僕は愛用しています。


※治療には医師の判断が必要なものも多々あります。
医薬品を試しても症状が改善されない場合は、速やかに病院へ行くようにして下さい。


このアレルギールSK、匂いがほとんど無く、患部に塗ってもすぐに乾いてベタつかないのがポイントです。
モノによってはベタベタして衣類にくっつくことで不快感があったりしますが、それが無いのは嬉しいです。


流石に即効性はありませんが、薬を塗った次の日の朝には腫れが抑えられているのを感じますし、痒みは体感的に4割(注:効果には個人差があります)まで減っているので大分楽になります。


痒みで寝る直前までつらい想いをしている方は、一度試してみては如何でしょうか。





~余談スペース~


・今回は短めですが、医薬品でダラダラ語るよりも効果を書くのが一番ですよね。
てか効能以外に知りたいこと無いだろうし。


・重ねて申し上げますが、治療は医師の判断の基に行われるのが一番安全です。
今回紹介した医薬品を使用しても改善が見られない場合は、速やかに病院で診察して下さい。

ゲーム垂れ流し48本目 TRICK×LOGIC

学生時代から変わっていないこととして、小説を読むのは習慣になっていますね。
現在は時代小説に移行しつつありますが、推理小説というジャンルは子供の頃から読んでいます。
そんなわけですから、推理ゲームもかなりの本数をプレイしましたね。


今回紹介する作品は、ストーリーでもキャラクターでも無く、あくまで叙述トリックに重点を置いてます。携帯機を片手にじっくり取り組んで頂きたいですね。



TRICK×LOGIC (PSP)


とある裁判が終わり、ビルの屋上で佇んでいた検事『芳川 樹(よしかわ いつき)』は、何者かに突き落とされてしまった。

次に芳川が目を覚ました時、そこは『冥界』と呼ばれる場所であり、この場を管理している閻魔大王『ヤマ』から意識だけ肉体と切り離されてここに辿り着いたことを知る。


芳川の現世での行いを痛烈に批判するヤマ。
それに対して芳川が批判しようとすると、ヤマは一冊の書物を取り出した。

『アカシャ』と呼ばれるその書物は、この世で起こった全ての出来事を記録している。
ヤマは現世で起きた事件に対してアカシャを読み、例え迷宮入りになったとしても、あの世で公平に判決を下す材料を提示することが出来るのである。


ところが、アカシャは飽くまで事件の内容を綴るものであるため、巧妙な犯行に対しては事件の真相が辿り着けないものもあること、そして事件の増加から、ヤマは芳川に仕事の手伝いを持ち掛ける。


全ての仕事が終われば現世に返すことを条件に、芳川はアカシャを開き始めた。


本を読み進める感覚でプレイしながら、事件の真相を文章のみで探っていく、思考型アドベンチャーとなっています。



~謎を解くための鍵、『アカシャ』~


謎を解くためにプレイヤーに与えられるものは、事件の内容を綴った『アカシャ』のみであり、これ以外に用いることはありません。


アカシャにはルールが存在し、


・本に書かれていることはすべて真実だが、犯人は嘘をついている可能性がある

・動機の強弱は重要ではない

・トリックや犯人は、超能力や宇宙人など超常的な事象によるものではない。冥界の住人も現世の事件に一切関与していない

というのが前提です。


つまり、ゲームのタイトル通り真相に近づくにはトリックとロジックのみ。
他の推理ゲームと違い、アドベンチャーパートで証拠品を集めなければ解けないということは無く、それら全て必要なものはアカシャに記載されている、ということです。



~推理パートと解決パート~


実際にどのようにしてアカシャを用いて捜査するのか、ですが、これは解説するよりも実際に例を見てもらった方が早いです。

下記に用意した例文をご覧下さい。
尚、ゲーム本編はもっと高度ですので、その点もご安心下さい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
商店街を歩きながらシガラキは今度のブログの内容を考えていた。

ここ最近は全くネタが思い浮かばない。たくさんのゲームをプレイしているにも関わらず、どれも今一つピンと来ない。


アクビを噛み殺しながら歩いていると、目の前にファーストフード店が見えた。
「腹へったな……」
昨日の夜は食事をとっていないのだ。本能だろうか、気づけば自動ドアの前に立っていた。

愛想さえマニュアルに記載されているのではないかと疑ってしまいそうになる店員の笑顔に、こちらも機械的に対応しながらセットメニューを注文する。

運ばれたハンバーガーを口にした瞬間、昨日の昼にもこの店に来たことを思い出したが、最早後悔しても仕方がないのでやはり機械的な動作で食事をする。


シガラキは改めて考える。
何故、これほどまでにネタが浮かばないのだろうか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


文才の無さに唖然としますが、そこはスルーでお願いします。


さて、ここで赤字の部分に注目です。

アカシャにはこのように赤い色で綴られた文章『キーワード』を最大で5つまで、ストックすることが出来ます。
↓のような感じですね。

たくさんのゲームをプレイしている
昨日の夜は食事をとっていないのだ。
愛想さえマニュアルに記載されているのではないかと疑ってしまいそうになる店員の笑顔
昨日の昼にもこの店に来たことを思い出した
何故、これほどまでにネタが浮かばないのだろうか?


この状態で『推理実行』のコマンドを選択することで、キーワードから『ヒラメキ』を得ることが出来ます。

上記の例なら、


①×②…シガラキは徹夜上等の精神でゲームに没頭していたのではないか?

④×⑤…昨日同じ店で食べたことに気付かないのだから、頭の回転が鈍っているのではないか?


というのがヒラメキですね。
ここまでが『推理パート』と呼ばれるシステムです。


では次に進むのが『解決パート』。
今までのヒラメキから必要なものを当てはめて事件の真相を暴きます。

こんな感じですね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
問1.ブログのネタが思い浮かばないシガラキだが、体調面に問題は無かったか。ヒラメキから1つ答えよ。
(                      )

問2.ネタが思い浮かばない直接の理由をヒラメキから1つ答えよ。
(                      )

問3.そもそも悪いのは誰か。次の選択肢から答えよ。

・ファーストフードの店員
・シガラキ
・シガラキを誘惑するアハーンウフーンなゲーム

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いやー難問でしたね(棒
何となく概要は分かりましたでしょうか?


ここでは最低限のものしか挙げていませんが、ヒラメキにはミスリードとなるものもあります。
総当たりで探すことが出来るとはいえ、ある程度は自身で筋道を立てておかないと後で泣きを見るハメになりますよ?



~トリックだけに思考を注げる~


大抵の推理ゲームには、アドベンチャー要素として多彩な登場人物や物語、そして複雑なバックボーンなどを主人公と共に追いかけていくのが醍醐味です。


しかし、時には推理するための証拠品と証言集めでフラグを立てるのが面倒くさいと感じてしまう作品もあるんですよね。

そのゲームの出来が悪い、と言ってしまえばそれまでですが、TRICK×LOGICではそれらの要素を全て取っ払い、あくまでどのように犯行が行われたのかを解明することに注がれています。

これによって推理のための前段階が無くなり、推理そのものに全ての意識を委ねることが出来るのが本作の特徴でしょう。


物語を楽しみたい人にとっては無粋に感じるかもしれませんが、推理に飢えている人には非常に大きなメリットだと思います。



~シナリオの出来、ゲームの出来~


シナリオは我孫子武丸有栖川有栖黒田研二など、豪華な7人の作家によって作成されているだけあり、ミステリとしても読み物としても楽しめます。

最後までアカシャを読み終えただけでは犯人も犯行も分かりませんが、上記のキーワードからヒラメキを発見していくことで、少しずつ事件の全容が形になっていく過程とシナリオをクリアした時の快感がたまらないです。


煮詰まった時、何度も推理実行をしていると芳川以外の登場人物が自身の推理を披露してくれたりするのですが、気分転換だけでなく別の角度からの視点やミスリードに気付けますので、多少なりとも冷静な思考に戻すための工夫が成されてるのはありがたいです。



~タイトル通り過ぎる点をどう捉えるか~


ミステリの部分は文句無く面白いのですが、犯人を当てたらそこまでなので、深い物語を期待している人には肩透かしかもしれません。


主人公の芳川にも物語はありますが、正直蛇足な印象は拭えませんでした。
いっそ芳川にストーリーを付随せず、ヤマの手伝いで冥界から呼び出されたくらいの淡白さでも良かった気がします。


購入の分岐点は分りやすいので、とにかく推理モノに触れたい!と考えているのであれば、値段もお手頃ですしプレイしても損はしないでしょう。

考えを整理して突き詰めて解き明かしたい方には、是非ともプレイしてみて欲しいと思います。





~余談スペース~


・芳川とヤマ以外にも個性的な人物が登場しますが、もう少し彼らの出番があっても良かったかなぁ、という気がしないでもないです。

とはいえ、ヤマもアカシャを開いている間はそこまで出番がないですが。


・ヤマの声を充てているのはデーモン小暮閣下です。
閣下の演技、非常に上手いですね。流石は閣下。


逆に芳川の棒読みがヤバい。




TRICK×LOGIC Season1 - PS3

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TRICK×LOGIC Season2

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