ゲームの話ばかりで人生設計が地下迷宮。

ゲーム(たまに雑記)を中心に話を垂れ流す、見る人のハートを損得+-ゼロにする日記。つか要点掴んで話するの苦手なので最早ダイイングメッセージ。

ゲーム垂れ流し60本目 Echo Night

「良いタイトル付けたな」

思わず口に出した時のことを思い出しました。


『ヴァルキリープロファイル』の時も似たようなことを言った記憶がありますが、こちらは少し意味合いが違って、“エンディングを観てから改めて振り返った時に納得した”という感じですね。

〜Echo Night(PS)〜


アメリカ、とある日にて。
リチャードの許に父親ヘンリーから届いた手紙。

同封された小さな鍵と、警察から父親の家が火事になった報を受け取ったリチャードは、故郷へ帰ることに。

父の家を探索している内に、リチャードは若き日のヘンリーが「赤い石」を持った老人の殺害を試みること、それに失敗すること、そして自分を心配してくれた老人の孫に「青い石」を託したことを知る。

更に探索を続け、とあるキャンバスの絵に触れた瞬間、気付くとリチャードは24年前に消息を絶っていたはずの客船「オルフェウス」に乗船していた。


自分達が死んだ事に気付かない亡霊達。
嘆き、恐れ、後悔を持つ亡霊達。

そして、明確な敵意を持つ亡霊達。


リチャードは父の真相と、オルフェウスからの脱出を目指して探索を開始する。



「アーマード・コア」「エルデンリング」シリーズで一躍有名になったフロム・ソフトウェアがPS梁明期に送り出したホラーアドベンチャーゲームです。



ゲームの概要


客船オルフェウス内を探索しながら謎を解き、真相を確かめる一人称視点のアドベンチャーゲームです。


豪華客船というだけあってマップは広く、行ったことのある所しか表示されないクソ地図片手にプレイヤーは多くの場所に訪れ、手掛かりを探していくことになります。

船内には多くの亡霊がいて、大抵は後悔や懺悔、未練といった負の感情を引きずっています。
リチャードとプレイヤーは彼らの過去に遡り介入することで成仏を後押しすることが出来ます。

願いを叶えて浄化される際、『アストラルピース』という赤い宝石の様な物体を残していきます。
このアストラルピースの数がエンディングに影響するのですが、過去に遡るだけでなく船内の謎解きが解決の鍵になっていることもあり一筋縄ではいきません。


そして本作を語る上で外せないのが『プレイヤーに敵意を持って襲い掛かる亡霊』の存在です。
この亡霊は特定のイベントをこなす以外では浄化させることは出来ず、部屋の明かりを点けることでしか逃れる術はありません。


大抵は現実と同じくドアの近くにスイッチがありますが、離れた場所にあったり電気が通っていない箇所もある為、スイッチを見つけて明かりが点かなかった時の緊張感と心細さは半端ないものでした。



〜引き込まれる序章の展開〜

プロローグイベントの客船を映し出すシーンで、ホラー要素を含んだ切り口の雰囲気を醸し出しつつ、物語はリチャードを操作するタイミングに切り替わります。

そしてヘンリーの家を探索するのですが、場所は違えどこれから起こるであろう不穏な気配が静かに忍び寄っていることを嫌でも想起させる作りになっており、ホラーの定番でもある昔起こった不可解な事件から、平和な現在に垣間見える歪みをスムーズな運びでプレイヤーに提供しているおかげで、すぐに世界観にのめり込んでしまいました。


その後のイベントも、リチャードの知らない父の過去に多少ながら介入する形によって、多くの謎を抱えながらオルフェウスへ飛ばされます。


ここから先は自分一人。
ようやくのスタートラインに立ったプレイヤーに、リチャード以外味方はいないという心細さと、限られた手段で進むしかない心許なさを改めてきっちりと植え付けた、流れる様な序盤の展開はお見事でした。


〜セーブは何処に〜

ここでちょっとケチをつけることを言いますが、上記の序盤の展開から一転、僕は暫くして別のことで頭がいっぱいになりました。


セーブはいつ行えるのかということ。


霊を成仏させ、敵対し攻撃を仕掛ける霊が出現してもまだセーブポイントが見えない。
ニューゲームから最初のセーブ地点までが遠いおかげで、段々とプレイの恐怖よりゲームオーバーになってもう一度長いイベントを見る恐怖の方が格段に勝っていました。


これ、今なら笑えますがプレイ時は割と真剣で、未セーブでゲームオーバーになったら二度とゲーム起動しないんじゃないのかくらい考えていました。セーブ出来た時、安心したと同時にどっと疲れたのを覚えています。


電源落として夜の街を軽く走ってから寝たどうでもいい思い出も記載しておきます。



〜凝ったグラフィックと懲り懲りなポリゴン空間〜


本作の舞台でもあるオルフェウス号は豪華客船に相応しいデザインで、インテリア等も拘りが感じられます。
特に機関部に降りていく時の機械の動きと蒸気音は素晴らしいの一言。この場所らしく行う仕掛けと相まって、隅々まで余す所無く探索しているのだという気分を味あわせてくれます。

本作のヒロインも胸元の谷間の出来栄えビジュアルが良く、リアル等身寄りのポリゴンとして見るとかなり頑張った方だと思います。


惜しむらくは空間の曖昧さで、物を掴んだ際に壁やオブジェクトに引っ掛かって落としたり、亡霊の攻撃から逃げようとして壁にぶつかることがままあります。

僕は特技(?)に、“ポリゴン含めた謎判定に慣れるのが早い”と自負していますが、本作では初見の場所へ足を踏み入れた時は結構苦戦しました。

極めつけは螺旋階段。
とある場所でひたすら螺旋階段を降りるんですが、ぐるぐる回って視界と進む先がかなり分かりにくいです。
螺旋階段の真ん中に近寄ると落ちてゲームオーバーになるので、結局は壁を見ながら歩く形になる為、主観操作と合わさることで良く分からないまま降りていく形になります。

ここは物語が終盤に向けて進んで盛り上がる部分になるはずだと思うのですが、頭の中は別の心配で埋め尽くされます。
本作はこういう勿体ないところが本当に多い……。



〜悲哀とホラーの妙〜


本作の登場人物は敵対する者含め、明確な悪意を持つ人物は意外と少なく、むしろ悲哀的な要素が目立ちます。


各々の後悔や恐怖、未練といった負の感情から解放してあげると、感謝や安堵の感情を見せてから浄化される演出が挟まれます。

基本的にBGMは要所でしか鳴らず、環境音に包まれながら先へ進んでいくので音声付きの人物との対話をはっきりと感じさせる作りのおかげか、達成感の中に少しの苦味が残る感覚を起こさせる、この作りがEcho Nightの肝であり、最大の評価点でしょう。




先へすすむ恐怖と先を開く試行、そして先に待ち受けている悲哀性が一体となってゲームを盛り上る本作。

ホラーが苦手な方もプレイしやすい部類かと思われますので、チャレンジしてみては如何かと。


エコーナイト PS one Books



〜余談スペース〜


・本編に記載するとテンポが悪くなるのでやめましたが、全体的なストーリーの構図も後半が駆け足気味ながら秀逸です。
プロローグからの出来事がリチャードの介入によって大きな変化を見せる様は、最後までプレイした時に感無量でした。



・亡霊の悩みを解決するのは結構大変です。
ヒントらしいヒントが無い者もいれば、運頼みで解決しなければいけないタイプもいるのは面倒さが目立つかもしれません。

種類が豊富といえば聞こえはいいですが……。



・これはネタバレになりますが、

自分の薬のせいで患者が死んだと思って悩んでいた医者の亡霊がいますが、原因が刺殺だと分かると安心して昇天します。
医者でなくとも分かるだろ。