気ままに旅をしてみたい。
思い描いたスタイル、気に入ったメンバーで戦いたい。
自由に、自分だけの物語を紡ぎたい。
当時のプレイヤーならRPGをプレイしながらも、頭の片隅で考えたことがあるのでは無いでしょうか。
それがまさか、スーパーファミコン黎明期に誕生したなんて、開発者の発想と技術に感心させられるばかりです。
ロマンシング サ・ガ(SFC)
マルディアスという世界には、かつてデス、シェラハ、サルーインと呼ばれる三兄弟の邪神がいた。
彼らはモンスターを率いて侵略の限りを尽くし、世界は恐慌の一途を辿る。
神々の王エロールは人間を率いて戦い、その中には英雄ミルザの姿もあった。
デスとシェラハは降伏するが、ただ一人サルーインだけは諦めず、戦は混迷の様相を呈していた。
ミルザはエロールから『デスティニストーン』を与えられ、自身の命と引き換えにサルーインを封印。世界に平和が訪れた。
時は経ち、同時期に旅立つ8人の姿がそこにはあった。
事情も目的も異なる彼らの旅には、数奇にもデスティニストーンの存在と、邪神の復活が迫っていたのである。
フリーシナリオ、と言えば筆頭候補でしょう。
その広大な世界と自由な道のりで人気を博し、熱狂的なファンを生み出したゲームです。
〜自分だけの足跡が生まれる『フリーシナリオ』〜
一般的なRPGだと、街で装備を整えて、敵と戦い次の街へ、そして装備を整え……と段階や道筋が用意されていますが、本作には最序盤のシナリオと、エンディングへ向かう特定の条件をこなすことの除けば決まった順序は存在しないのが大きな特徴です。
主人公の一人である『アルベルト』はある程度の指針を示されるので初心者向き(※飽くまでロマサガ基準)ですし、『バーバラ』は開始直後から行ける場所が多いのでやりやすいでしょうか。
しかしそれも最初まで、プレイ中の殆どは自分で行く道を決めて動かなければなりません。
ワールドマップの概念は無く、主人公若しくは仲間を得ることで入手できる『地図』により、新たな場所を探索可能になります。
誰を仲間にするかで道筋や戦略が変わり、次週プレイ時には別の仲間と共に旅する意欲になります。
主人公のみですが、開始時に両親の生まれを『聖戦士』や『占い師』など選べ、ここで選んだ職業によってパラメータに変化が生まれます。『戦士』なら力と体力が、『魔術士』だと知力が上がりやすいといった具合です。
とはいえ、初期パラメータが気に入らなければステータスを変えることもできます。
戦闘中の行動、例えば武器を振ったり術を使用することで該当するパラメータがアップするシステムを採用している為、装備を考える楽しみも。
武器や術の種類はかなり多いので、イメージ重視の方も効率に重きを置く方も楽しめます。
とにかく自分のプレイスタイルそのものが道を作り上げ、物語を彩る様相足らしめている点は、制約が多く技術の見極めがまだ難解だったスーパーファミコンに、凄まじいポテンシャルが秘められていることを証明した作品であることは疑いようがありません。
〜あまりに突き抜けた作風〜
当時としては類を見ない試みであったフリーシナリオですが、他にも独特な点というか、世界観というべきか、そのどれもが(良くも悪くも)ロマサガとは何かを構成するパーツとして機能しています。
モノによっては機能不全ですが。
「アリだー!」「おまえが やったんじゃないですか?」
「てめぇがつよすぎるんだよ 大女め!」
「かっこいい男! ぜひなかまにせねば」
など、シュールでありながらむしろ芸術的な着地点を披露する台詞の数々。
独特に感じられるかもしれませんが、実は初代サガの世界観に原点回帰しているともいえる作風をパワーアップさせたものだったりします。
その他にも序盤から強力な武器が店売りだったり、ゲーム開始から終盤まで即死攻撃が飛んできたり念願のアイスソードを奪い取ったりシフが増殖したりなど、最早バグも含めることで本作の世界観は完成したといっても過言ではありません。
この突き抜け過ぎた作風は受け継がれていきますが、好きな人はこれこそがロマサガシリーズを追い求める理由たり得ます。
〜(バグ含め)突き抜け過ぎた作風〜
フリーシナリオは従来のRPGとは勝手が違い、どこへ行くべきかを示す指針はありません。
シンボルエンカウントなのに敵のスピードが異様に速く戦闘になりやすく、戦闘回数で敵が強くなる仕様とイベントテーブルが変わる仕様のシナジーが、どこへ行けばいいか分からずウロウロしているだけで詰む恐れも。
これが合わない人は本当に辛く、不親切に映るかと。
また、恐らく作りかけて放置されたであろうシナリオ絡みの思わせぶりなマップも散見され、サガシリーズには良くあることなので、気になる人は気になるポイントかもです。
これも地味に痛いのが、お金の管理がめんどい。
9999金を超えると戦闘で得たお金は無駄になるので、お店で何かを売って1ジュエル(=1万金)にしないといけません。
そもそも中盤以降のダンジョンは最深部まで行くと余裕でお金がカンストするので、入る前にお金は使い切っておかないと損をします。江戸っ子?
一気に短所を紹介しましたが、これが嫌な人、これを含めてサガだと思う人で思い入れが全く違うものになります。
今だと攻略サイトも充実しているのでオススメできますが、当時だったらどうだろう……。
それでも、まだ見ぬ地と仲間を求めて自由に気ままに進んでいける本作は、求めていた人の心をガッチリと掴み取りました。
自由なのに不都合と不条理を楽しむ様なゲームは、現在ではなかなか難しいでしょう。
そんななんとも言えない魅力を放つ本作、有名になったのは理由があります。
是非一度、自分の手で結末を見て欲しいですね。
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〜余談スペース〜
・プロローグで紹介しました邪神の内、デスとサルーインは出番がありますが、シェラハに関するイベントはありません。裏設定では語られるのですが……。
・キーアイテムであるデスティニストーンも全部集められません。
しかも一部を除くデスティニストーンは効力無しという何とも肩透かし。
これもディレクターによると理由があるらしいのですが、少し寂しいですね。
・↑の点は、リメイクでようやく日の目をみるよ!