サウンドノベルに急にハマり、買い漁ってた時期がありました。その中で見つけたゲームですが、何とも奇妙な印象の残り方だったんです。今回はSFC版と後発のGBC版を紹介させて頂きます。
半年間の航海に出ることになった、貨物船『ダイアナ』の船長である主人公。
出航してしばらく経ったある日、彼らクルーに様々な出来事が襲いかかる。
ゲームは縦書きのサウンドノベルで、事件は全て船上、もしくは船内で起こります。
その性質上、推理小説で言う『クローズドサークル』に当てはまり、波や船内特有の音の組合わせはプレイヤーの緊張感を高めてくれるでしょう。
当時のCMも船内特有の恐ろしさを上手く演出していた記憶がありましたので、開発者もこのゲームのポイントがどこかを強調していたのかもしれません。
~SFC版に思う「珍しさ」と「選択の不自由さ」~
基本的にはゲーム内の選択肢を選んでいけばエンディングに到達します。次週より、選択肢が追加されるなど、サウンドノベルとしての柱の部分はきちんと踏まえています。
少し珍しいのは、一度クリアしたシナリオと全く同じ選択肢を選んでも、結末に変化が起こるところでしょうか?
とはいえ、最後の結末「だけ」なので、劇的な変化が待っているわけではありません。むしろ以前より不安や絶望を残していく終わり方もありますから、プレイヤーによってはしこりが残るかもしれません。
「夜光虫」のメインシナリオを大きく分けると3つになります。
これを少ないと感じる人もいるのでしょうが、個人的には
最後まで話を進められる=つまり途中エンド(バッドエンド)が存在しない
ということがゲームの幅をあまり感じられなかった原因だと思っています。
少ないと感じる気持ちは分かります。僕自身、「まだ何かあるはずだ」と思って総当たりで調べましたからね…。逆にいえば、どんな選択であったとしても一旦は必ず完結できるともとれますが。
一応捕捉しておくと、全てのエンディングを見た後に追加で物語が発生します。
~GBC版に思う「納得」~
さて、後に発売されたGBC版は改良点が見られます。
まずは新シナリオの追加。
1つだけですが、これでボリューム不足は大分緩和されたかと。物語の好みは人それぞれですが、きれいに話を纏めたのではないかと思います。
また、今までのシナリオにも少し手が加えられており、前述したシナリオの結末の変化もただ不安を煽るだけでなく、周回を重ねた末での救いが見られたりと、プレイヤーの気持ちにも整理がつけやすくはなりました。
GBCの性能のせいか、SFC版に比べるとグラフィックは荒いですが、却って恐怖や不安を掻き立てるのに一役買っています。良い味付けですね。
さりげなく速読機能が登載されているのも、周回を重ねるサウンドノベルにはありがたいです。現在では当たり前なのですが、SFC時代には無かったですから。
~そして生じる「疑問」~
GBC版にそれだけ追加要素があるならSFC版って容量スッカスカじゃね?
~総じて思う「手堅さ」と「物足りなさ」~
誤解されないためにも断言しますが、夜光虫は決してクソゲーではありません。
雰囲気やサウンドノベルのシステムの基礎をしっかりと押さえた、十分プレイする価値のあるゲームだと思います。
残念なのは、伏線を張る、時々で考察の余地を与えるといった点が無かったためにプレイヤーに驚きと先に進む恐怖を提供できる要素が少なかったこと。これが大きく響いたのかもしれません。
同じシナリオでも展開が変わる点は素晴らしい着眼点だったと思うので、もう一歩踏み込めれば傑作になっていたのではと考えてしまいます。
偉大なサウンドノベルを作ることの難しさは、案外「夜光虫」がヒントになるのかもしれませんね。
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~余談スペース~
・今回はかなり短い文章になってしまいました。
サウンドノベルって内容(物語の具体的な文章など)を書いたら即ネタバレにつながるので、どこまで書くべきかで悩んでいたら殆どを削るハメに…。
次回このジャンルに触れる時は、その他の部分で皆様に伝えられることができるように頑張ります。
…SFC版の容量より中身が少ない記事になったなぁ…。
・本作のタイトルである「夜光虫」ですが、プランクトンの一種であり、刺激を与えると青く光る特徴を備えています。
海外では夜光虫を入れた瓶を振ってその光を楽しむ方もいるとか。