「仕事は盗め。見て学べ」
ドラマなんかでは職人の世界でお馴染みのフレーズですね。
寡黙な親方が未熟な若手に背中で仕事を語る…ありがちだと分かっていても格好いいものです。
世の中には様々な職種があるので一括りにはできませんが、「見て学ぶ」という行為は昔からあり、新人にはそれくらいの積極性がある方が望ましいのでしょう。
ですがこの「見て学ぶ」、使い方を間違えると誰の得にもなりません。
それどころか、貴重な戦力を失った上にもれなくダメ上司の烙印を押されます。
大切なことは見て学ぶことに価値があるかどうかのはずなのに、自分が楽をしたいのか「見て学べ!」の一言で済ませる無責任な方って、意外と多いんです。
今回も偉そうに語っておりますが、宜しければどうぞお付き合い下さい。
~「見て学ぶ」ことによるメリット~
そもそも、何故昔から「見て学ぶ」という方法があるのでしょうか。
本当に使えない指導方法なら、本当に使えない人しかこのやり方を採用しないと思われます。
ではメリットは何なのか。
僕は考える力を養えることで、自分が成長することだと考えています。
誰かの仕事振りを見て「あれはそうやってやるのか」と感じたなら、次からは自分も同じようにする。
それで上手くいけば続けましょう。駄目だったならそれを相談できます。
この駄目だった場合がポイントで、一から聞くよりもずっと具体的な内容の質問ができますから、相手もどうするべきかの説明がしやすく、こちらも実体験を経ているので飲み込みが早くなります。
それでも駄目なら
「○○さんはこうしてたから真似してみようかな」「○○さんならきっとゆっくり話して物事を整理しながら進めていくのかな」
というように、自分で打開するための材料を集められるのが利点です。
だからこそ、「見て学ぶ」行為は自分の成長のためにも不可欠なんです。
~いや、それ、指導放棄だからな?~
ところが、現実では何に対しても「見て学べ」という方がたくさんいます。僕の目から見ても多いのですから、多分世の中にはもっといるのかもしれません。
経験談ですが、質問をした時に
「俺の時は教えてくれる人なんていなかったのに、甘えるな!」
と怒鳴られたこともあります。
当時は「そんなものか」と思っていました。学生時代の体育会系的気質が残っていましたから、深く考えなかったんですね。
でも今なら言えます。
それ指導放棄じゃねーか。
「見て学ぶ」という指導は、自分が仕事をしていれば良い訳ではありません。仕事を仲介にした上司と部下のコミュニケーションです。
それが分からず、「自分は仕事をしているのに、それから学びとれない奴が悪い」という考え方では誰も着いてきません。というか段々と相手にもされなくなりますし、仕舞いには「ここにいても無駄だから、他の会社へ行こう」と部下は考えるでしょう。
そうやって戦力を失っていく内に、自分も苦しくなります。なんせ仕事を任せられる人が周りからいなくなるのですから。
そんなことにならないためにも、「見て学ぶ」指導には細心の注意をしなければなりません。
~教える相手の立ち位置を覚えておく~
ここまで読んで、「それってお前の飲み込みが悪いんじゃねーの?」と突っ込んだ方もいらっしゃるかと思います。
それは否定しません。
不器用で要領も悪いので、迷惑を掛けたのも事実です。
けれど、いきなり「見て学べ」はハードルが高いんですよ。
入社したばかりの新人には、これから社会人としてやっていけるのかどうかという不安に加え、職場の雰囲気も空気も分かりません。
更には「暗黙の了解」なんてものも会社によってまちまちですから、これは時間を掛けないとどうしようもない問題です。
まずはその事を踏まえ、新人には会社の1日の流れを含めた最低限の事柄を教えておく必要があります。
よほど要領が良いか能力のある新人でない限り、「見て学ぶ」ことは控えるべきです。というか、そんな能力があるなら勝手に見て覚えます。
それが出来てから、「見て学ぶ」指導は本領を発揮します。
~その仕事振りで何を伝えたいのか~
職場にも慣れてくれたなら、相手の得意不得意や人となりがある程度は分かるでしょうから、それに対してどう振る舞ったら理解しやすいのか、つまりその仕事振りで何を伝えたいのかを考える必要があります。
ここでの注意点は、自分が部下を見てるように、部下も自分を見ています。
仕事だけでなく、普段の振る舞いから察せられることは数えきれないほどあります。好かれなくても構いませんが、理不尽な人であるという認識はされないように最低限の信頼は必要です。
ズルい言い方ですが、上記の点さえ守れば、仮に部下が僕の仕事振りを見て学ぶことができなくても「何か伝えたいことがあったんだろうけど分からなかったな」くらいには考えてくれます。
最悪でも、「あの人のやり方は分からないから、他の人に聞こう」ですみます。「アイツは教えてくれない」とはなりません。
人間性はお金で買えません。ある程度の筋は通しておきましょう。
どうしても伝わらない時は、仕事を実際にこなしてすぐに、ポイントを説明するのが良いと思います。
全てを「見て学ぶ」では部下も疲弊しますから、要所で使うくらいにしておきましょう。その内に自分で考えられるようになって、勝手に成長していきます。
最近の若者、なんて馬鹿にしている人もいますが、今も昔もそんなに変わりません。
時代と環境が変わり、スピードを求められる現在では、若い人材は貴重な戦力だということを認識しておくべきです。それを忘れた時、自分の居場所はとても狭い職場になりますから。
~終わりだと思った?ここゲームブログだぜ?~
ここまで読んで、「見て学ぶ」って難しそうだなぁ、と思った方がいるかもしれません。
でも、大丈夫です。程度はともかく、全く出来ないなんてことは無いですよ。
だってゲームをプレイしている間、皆さん見て学んでますよ。
格闘ゲームはガチャプレイという方でも、操作していく内にキャラクターの移動速度とか威力の高い必殺技などを覚えていきますよね?
ギャルゲーしかやらない?
この娘は当初ツンツンしてるけど、プレイしていく内に本当は人一倍優しい娘だということが別れば、選択肢はある程度決まっていきませんか?
それ、見て学んだ経験則から判断しているんです。
こういう言い方をすると仕事熱心な人に怒られそうですが、ゲームで「見て学ぶ」ことを仕事に変換するだけなんです。
何度も繰り返していけば、必ずどこかで失敗しやすいポイントが見つかります。
分からなくてもどの仕事が苦手なのかを理解すれば、質問もスムーズに行えます。
何となくでも良いので、周りに目を向けてみて下さい。
ゲームでしてきたことを仕事に活かすことはできる。
馬鹿にされようとも、僕はそう考えています。
~予断スペース~
・ゲームが趣味=仕事に向いてない
って考えてる人に良く出会うんですよ。
しかもそういう人に限ってすぐに「見て学べ」って言われたものですから、反骨心がもう天井知らずですよ。
じゃあクラシック鑑賞やスポーツ万能なら仕事できんの?仕事のデキは仕事で判断しろよ、って考えているので、「見て学ぶ」やり方と、ゲームから学べることもあるだろってのが今回の内容でした。
・仕事関係の記事は勢いで書いています。
その方が筆の運びが良いからですが、誤字脱字も多くなります。
ごめんネ☆