ゲームの話ばかりで人生設計が地下迷宮。

ゲーム(たまに雑記)を中心に話を垂れ流す、見る人のハートを損得+-ゼロにする日記。つか要点掴んで話するの苦手なので最早ダイイングメッセージ。

ゲーム垂れ流し50本目 Wizardry〜狂王の試練場〜

今回紹介するゲームはとても有名ですね。
そして、僕のゲーム好きの根幹にあるものといっても過言ではありません。
元々はパソコンから始まったそれは、多くの熱狂を生み、満を持して家庭用ゲームに登場しました。

偶然からプレイした時は子供だったのでさっぱり面白さが分かりませんでしたが、強い印象を残していたのは確かで、中高生になった頃にはすっかり夢中になっていました。

ファンタジーとは、RPGとは、そしてゲームとは何なのかを考える切っ掛けとなった、とても思い出深いゲームです。

Wizardry 狂王の試練場(PC,FC,WS)


「狂王」と称され、周辺諸国を統一したトレボー王。
順風満帆だった彼の歴史に大きな問題が発生していた。

魔法使いワードナが『魔除け』を持ち出し、トレボー王の城の近くに地下迷宮を設け、自身は魔除けの研究を始めたのである。

周辺諸国を統一できたのは『魔除け』の力のおかげであり、トレボー王は憤慨。
軍隊を差し向けたが、迷宮の罠や魔物の壁に阻まれ、奪還どころか自国の勢力さえも失っていく。

そこに、臣下から一つの提案が発せられた。
ワードナを打ち倒し、魔除けを奪還した者に、莫大な褒賞金と近衛兵として迎え入れる、という内容である。

軍隊を失わず、迷宮を攻略する有力な者を取り立てることが出来るとトレボーは考え、さっそく街にお触れを出した。

街に滞在していた者、噂を聞き街を訪れた者、これから第一歩を踏み出す者――多くの冒険者達が、ワードナの迷宮へ向かう。



ダンジョンRPGの代表格といっても過言ではない、wizardryシリーズの記念すべき第一作になります。

シリーズ初出と侮るなかれ、今プレイしても面白さは褪せることの無い、不朽の名作です。



wizardryが作った、独特なシステムの解説~


wizardryの事はよく知らないけど、シビアな難易度だと聞いたことはあるかもしれません。
ファミリーコンピュータ時代は反射神経や初心者殺しが絡むシビアな(不親切なゲームも含め)難易度であることも多かったのですが、こちらはその独特なシステムが難解さに拍車を掛けている感じですね。


☆ダンジョンについて

20✕20マスから成るダンジョン内は頭上から俯瞰する形ではなく、主観視点で進めるので、適当に進むと現在の位置が分からなくなり、遭難してしまいます。

現在の座標を表示する魔法もありますが、MPではなく回数制なので、気軽に使えるものでもありません。魔法はレベル毎に分かれており、一つのレベル帯に複数の魔法を兼ねているため、座標を割り出す魔法を使い過ぎると他の魔法が使えず、戦闘で大ピンチに…なんてことも。

そうならない為にも、プレイヤーは方眼紙を用いて自身でマップを作成するのが基本になります。


☆ペナルティについて

戦闘不能になった冒険者は施設の"寺院"で復活させますが、この時失敗することがあります。
蘇生に失敗した冒険者は"灰"状態となり、もう一度復活を試みて失敗すると"ロスト"、つまりその冒険者は消滅し、二度と戻りません。

復活料金は高いので、序盤はお金の捻出も難しく、新たに冒険者を登録した方が楽なのも厳しさに拍車を掛けています。


もしパーティーが迷宮内で全滅した場合、その場に取り残されたままになります。
別のパーティーで全滅した場所まで死体を回収しなければなりませんが、最大6人のパーティーからスペース分、つまり5人で行くと1人しか回収できません。
戦える人数が減って厳しさがますのに加え、時間が経つと死体はやっぱりロストします。
全員が麻痺や石化しても全滅扱いなので、戦闘中は全く気が抜けません。


☆宝箱について

無事に戦闘を終えると宝箱が出てくる時もありますが、wizardryではここも気が抜けません。
宝箱を開けるにはトラップを解除する必要があります。

トラップはダメージを与える、ステータス異常を付与させる、敵を呼び出すといった恐ろしい罠が満載で、パーティーに盗賊がいなければ罠の判別や解除がまともに機能しなくなります。
盗賊を加えないのはもはや縛りプレイの領域ですね。

戦闘は問題なかったけれど、トラップ一つでパーティーが全滅の危機に陥った、というのもwizardryあるあると言えます。


聞いたことがあるかもしれません。
トラップの一つ、"テレポート"が起動すると、ランダムな座標に飛ばされます。
この時、歩ける通路ではなく、壁に囲まれた座標の中に入ると、パーティーが全滅する上に後述する回収が不可能になってしまいます。

そう、これが有名な『いしのなかにいる』です。



☆レベルアップについて

RPGの基本通り、戦闘を終えれば経験値が入ります。
一定の数値に達するとレベルアップ……ではありません。
施設の宿に泊まった時にレベルアップします。

この時、力や素早さ等の各パラメータが上がるのですが、何とHP以外のパラメータが下がる事もあります。運も絡んできますが、場合によっては前より下がってる……何てことも起こり得るのが恐ろしいところです。


そして妙にリアリティがあることに、宿屋に泊まると(宿のランクによりますが)一定期間の時間が過ぎる様になっており、冒険者も年を取ります。

そして年齢が上がりすぎると引退、結局ロストします。
蘇生した時や職業を転職した時にも年齢が加算されるので、そこにも気を配る必要があります。
そこまで年齢が上がるなんて事態には、なかなかならないと思いますが……。



難しいのは間違いありませんが、現実味を含みながらも絶妙なバランスに仕上げられた奥深さと、プレイヤーの数だけ生み出される悲喜こもごものドラマとセットになっている部分もあり、理不尽に感じる点も含めて醍醐味になっているフシがあります。

……まぁ、折角のキャラクターが消えて1からやり直すことに抵抗があってプレイする気が起きない、という方の気持ちも正直分かります。
しくじった時、辛いんですよね……。



~プレイヤーを誘う、数々の"入口"~


冒険者を登録し、街の施設を利用して整え、迷宮に潜って戦いながら道を開き、無事に帰れば拠点に戻って施設で整えて再度迷宮へ…

文字に起こすと上記の行動を繰り返すだけの単調な作業に映りますが、この中にはたくさんの楽しみが詰め込まれています。


大抵のプレイヤーが初めに行うであろう冒険者登録。
wizardryは決められたパーティーは用意されておらず、自分がパーティーを決めるシステムです。
パーティーも1つだけでなく、第2、第3と作成できます。

迷宮攻略のバランスを考えるも良し、想像を膨らませて雰囲気重視も良し、敢えて種族と噛み合わない職業を選ぶも自由です。ネタに走るのだって構いません。


迷宮に踏み込めば、薄暗く不気味なダンジョンを探索します。
全体像が全く分からない中、プレイヤーは地図を自力で作成しながら冒険者と共に一歩ずつ進むのです。

その先の何処かで『扉』が前に塞がります。
その先には戦闘があるかもしれません。新しい道かもしれませんし、ただの行き止まりかもしれません。


敵に出くわした際、どの様な行動を取るのか。
敵の人数は?敵の行動パターンは?魔法のリソースは出し惜しみしないのか、後の事を考えるのか。


戦闘後の宝箱は魅力的ですが、罠が仕掛けてあるかもしれません。盗賊の判定は正しいかどうか考える必要がありますし、怪しければ開けない勇気も試されます。


パーティーの状態によっては迷宮からの帰還を考えないといけません。
もう少し進むのか、安全策を取り戻るのか。



そうして迷宮からの帰還を果たした時、各施設にて冒険者のレベルアップや戦利品の整理を済ませたとき、迷宮への手応えとより強くなった冒険者達に愛着が湧いてきます。
そしてそれが次の迷宮探索へとプレイヤーを駆り立てる…

緊張と緩和、そして達成感といったこの一連の流れこそが、プレイヤーをまたしても迷宮の奥深くへと誘います。


ハック&スラッシュ、略してハクスラと呼ばれるという言葉がありますが、元々はTRPGにおける"ストーリーも無く、ただひたすらに敵を倒すシナリオ"を揶揄する表現でした。
wizardryもシナリオはフレーバー程度のものですが、迷宮から得た戦利品への期待、施設で鑑定するまでの楽しみと鑑定後の喜びと無念が病みつきになります。
ハクスラという言葉が揶揄から、いちジャンルを指す言葉になったのは、このゲームの影響も少なからずあると思われます。



〜今尚受け継がれる、完成されたシステム〜


wizardryの画面はとてもシンプルです。
ダンジョン内の敵キャラクターのグラフィックを除けば、ウィンドウとそれに表示されるテキストしかありません。

ですが、必要最低限な画面の中には今となっては当たり前の出来事が詰め込まれています。


職業、パーティーにおける役割分担、選択式のコマンドウィンドウ等、これらはwizardryによってゲームに持ち込まれた画期的なアイディアでした。

これらの要素が重なり合うことで、アクションやシューティングといった能動的な操作だけでなく、時にはマウスやコントローラーを置いて思考に時間を割くという、新しいプレイスタイルをもたらしたのです。


コマンド選択戦闘、メッセージウィンドウ、職業や種族の概念は今も尚、時には形を変えて世の中のゲームに引き継がれています。
現在まで続くコンピュータRPGに多大な影響を与えたと言われている、それがwizardryです。



〜何を以て迷宮を"攻略"と呼ぶのか〜


ゲームの目的はワードナから魔除けを取り戻し、王のもとへ持ち帰ることですが、プレイヤーにとってはそれで終わるわけではありません。

まだ見ぬアイテム、特にRPGならではのレアアイテムの収集や、全てのマップを埋めてダンジョンを完全踏破するといった、コレクター魂をくすぐる要素に挑めます。


ひたすらに戦いを挑み、誰も敵わない最強のパーティーに辿りついた時の達成感はひとしおです。


プレイスタイルを突き詰めるのではなく、冒険者の組み合わせからドラマを想像するのも楽しいです。

この種族とあの種族はどうしてパーティーを組んだのか、何故この職業についているのか、そもそもパーティーの成り立ちは…
グラフィックがシンプルだからこそ、想像の余地は誇張抜きで無限大です。


冒険者は魔除けを王に渡し、近衛兵になろうと目論んでいる者達もいるでしょうが、一攫千金を目論む者、強さを求める者、様々な思惑があることでしょう。
迷宮へ挑む冒険者の目的は、個々のプレイスタイルと重なっていき、それはプレイヤー=冒険者の図式を生み出すのです。



RPGにおける、一つの金字塔〜


昨今のゲームと比較するのは野暮であることは理解していますが、システム的な制限から予備知識も無しにプレイするのは大変かもしれません。


それでも、ほんの少しだけでも先へ進めた、装備品やレベルアップで強くなったのを実感したり、失敗しても自身の経験は培われていく――
それはまさしくRPGの中にある醍醐味と言えるのではないでしょうか。

コンピュータRPGの始祖に近いゲームでありながら、RPGとは何か?に対する一つの答えを提示したwizardryはまさしく"傑作"だと僕は思います。






〜余談スペース〜


・今回から、少し表記を変えて見ました。
いずれ他の記事も修正するかもしれません。


・昨今のダンジョンRPGはマップを自動で埋めながら表示してくれたり、お金を払えば死体回収を一瞬で行ってくれたりするシステムも多いです。冒険者の年齢が設定されているゲームはかなり少ないと思います。
wizardryは無料かも、と思った人にはオススメです。


・昔のゲームは思い出補正が強いので書きやすいのですが、それ故に偏重記事にならない様に作成するのに気を付けないといけないな、と感じます。


・数多くのゲームから感じたことが僕を形作っていますが、wizardryは特に影響と衝撃を受けた作品です。
上記の繰り返しになりますが、そういった作品を紹介する時こそ、心にブレーキを掛けないといけないことを痛感しました。


サキュバスたまんねぇ。